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子供

2006年09月13日 04:28


昨日の朝
新しい子供を買ってきた
ホームセンターで売っていたのだ
財布の中にあった
銀貨とアルミ貨を全部出せば
足りる程度の値段であった

ビニールの覆いを外すと
子供はぴかっと眼を開いた
幾つかの言葉を言い聞かせると
すぐに覚えた

名前はどうしようか
と考えたが
いい名前も思い浮かばなかったので
子供
と呼んでいる

子供は冷蔵庫に好んで入る
夕飯の支度をしようと
冷蔵庫をあけると
牛乳パックを抱きしめて
すやすや眠っていたりする

ある日
子供と一緒に外出したら
風船を売っている人があった
何度も見ているので
欲しいのかと思って
買ってやると
嬉しそうに笑った
子供は赤い風船を三日間手放さなかった
三日目に風船がしぼんでしまうと
ひどく残念そうな顔をして
また買ってやる
と言うと
わーいわーいと跳ね回った

その翌日に子供は
冷凍庫の中でつめたくなっていた
入るべきところを間違えたらしい
わたしは泣きながら
子供を火葬場へ持っていった
風船の残骸と一緒に焼いてもらった
子供の骨はごく少量で
はらはらと風に
吹き飛ばされるほどだった

箱をかかえて
悄然と歩いていると
風船売りがいた
わたしは風船売りから
赤い風船を買って
箱に結びつけた

箱はふわりと浮き上がり
上空へ飛んでいってしまった
だから子供の墓はどこにもない
強いて言うなれば
あの青空
または夕空
または夜空
が子供の墓である

今日
ホームセンターへ行ったが
もう子供は買ってこないことにした
同じ値段で同じような子供が
まだ売られていたのだが

どうも胸が痛くて
しょうがないのである

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コメント

  1. ヱコ | URL | -

    命のあり方ってこんなものなのかな…実は。
    すごくすごく悲しいのに
    淡々と流れていく文章に
    何とも言えず、心が引きつけられました。

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