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不思議の国の住宅街

2006年09月03日 16:54


月夜の
住宅街からは
ぜらにうむの匂いがする

遠い異国にいるみたいだ

わたしはサンダルを
はちはち
言わせて歩いてゆく

出掛けるのか帰るのかさえ
分からないままで

撤去された公衆電話
がらんどうのボックスは
とうの昔に死んだ人の
例えばそれはルイス・キャロルの
つめたい心臓みたいに見えて

しばらく行くと
街灯のしたに
赤いくちびるの女の子がいた
彼女は
どんどん透き通っていってしまう
官能的に歯をきらめかせ
まるでチェシャ猫のように

やがて女の子がいたはずの場所は
かすかに
にやっとざわめいて
やがてすっかり静かになった
おそらく思春期の為だろう

またしばらく歩いてゆくと
横断歩道があって
白いところだけ
選って歩いている
男の子がいた
彼はころんと転んでしまうと
もう二度と起き上がれなかった
ハンプティー・ダンプティ
塀から落ちた
歌ってやるとぱちんと割れた

やがて風が吹いてきた
風はかすかに
紅茶の匂いがした

眩暈がしたので煙草をすうと
わたしの脊は
伸びたり
縮んだりして
曖昧すぎて
気味が悪い

月夜の
住宅街からは
ぜらにうむの匂いがした

四つ角を曲がると
気のせいだろうか
トランプの兵隊が
行進していった
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