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夢の国

2006年08月31日 17:15


人工降雨機が
雨を降らしている
わたしは嘘みたいに綺麗な路地裏で
ぼんやりと雨宿りをしていた

この町には人間がいない
樹も生えていない
あるのは鉄や
コンクリート
セラミックス
それだけだ

あまり寂しいので
先月
わたしは人間の代わりに
犬の縫いぐるみと婚約した
にせものの指輪を
一人芝居で交換した

両親は逃げてしまった
どこにいるのかは知らない
だからわたしは一人だ

一人で
造花を庭に植え
プラスティックで出来たパンを
食卓に並べる生活をしている

縫いぐるみには
イル・デッロと名前を付けた
イル・デッロ
美男子という意味だが
滑稽な顔の犬は
だきしめても頼りないし

雨が強まってきた
外灯に火が入る
いったい誰の為だろう

わたしは路地裏から表通りへ
雨はただの水ではなくて
七色に着色された砂糖水だった
意味が無いな

そこいらに可愛い動物たちが
風船を持ってうろうろしている
ひとつ
押し付けられた
妖精に扮した着ぐるみは
わたしが握っていた五百円を
まるごと持って行ってしまった

煙草を買おうと思っていたのに
まあ自販機は無いんだけど

遠くにお城が見えた
あそこには
午前九時に来て
午後五時に帰る
王様たちが住んでいる

どこから来て
どこへ帰るんだろう
外のことはわからない

ポッケットをさぐると
百円
見つかったので
道ばたの屋台で
お菓子を買おうとした

売り子は魔女だった
魔女はわたしにそっくりな顔をしていた
おずおずと百円を出すと
百円じゃ足りません
と言ってお辞儀をした
よく見たらこれも機械だった

わたしは帰ろうと思う
美男子が待つ家に
うまくいけばこのさき
子供が出来るかもしれない
玄関先に小さい子犬の縫いぐるみが
届くかもしれない
愉快だな

外に出たら多分
傷つくんだろう

今は貧血気味だから
なるべく血は流したくない

城の辺りで
炎が上がるのが見えた
わたしはイル・デッロを膝に乗せて
今夜は派手なショーをやっているな
と思った
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コメント

  1. 秋 | URL | -

    コロコロコロコロ

    転がった。転がった。これ良いなー。

    外に出たら多分傷つくんだろう
    今は貧血気味だからなるべく血は流したくない



    ってところでゴロンと。

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