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信長

2006年08月28日 09:15


地下鉄千代田線
北千住駅で
線路をみつめて立っていたら
ふと血のにおいがした

振り返ると
背広を着て
髪を後ろに撫で付けた
織田信長が
おろおろしながら立っていた

一人ぼっちで

つい溜め息をついてしまう

信長

いまはもう2006年で
濃姫も猿も死んでしまったよ
弟を殺すなんて当たり前で
誰も彼もがいつ死ぬか解らないから
怯えて暮らすしか無いんだ

住宅は密集して
土地なんか無くなってしまったよ
人はみな
小さな城を持ってはいるが
居場所がないんだよ

目茶苦茶だよ
なにもかもが

信長

飛行機がどんどん墜落して
毎日何十人も人が死ぬよ

墜落しなくても何百人も死んでいく

飢えで
病気で
絶望で

信長はあたりを見回して
ただぶるぶると小さくなっている

さびしいんだろうか

轟、と音を立てて
電車が来たので乗り込んだ
車内は中程まで詰めた人で満員だったので
ドアー前のわずかな余白に
無理矢理体を押し込んだ

発車ベル

解らないんだろうか

信長は
電車に乗らなかった

動き出すとき一瞬
眼が合った

よく見たら信長の両手には血がついていて

また誰かを殺したんだろうか

わたしは
真っ暗なドアーにもたれ掛かって
後ろに去ってゆく信長を
見送った

それから眼を閉じて
忘れた

おや
どこからか
サイレンの音が聞こえる

明日は缶の日だ
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