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二十四時間という真っ黒な獣

2011年07月06日 20:07

二十四本の歯を持った獣と並んで
天井を視ている
獣はいびつな丸いかたちをしていて
からだの殆どは口だから
まるでわたしの隣に巨大な穴が
ぽかりとあいているようである

獣の歯は一時間に一本ずつ抜けてゆき
零時に一斉に生え変わる
ときどき苦しがるので
口のなかに手を入れて抜けきれない歯を抜いてやる
するとごうごうと嵐のように笑い
そのお礼にほんの少し
わたしの身体を食べてくれるのだ

時計が午後三時を打ち
獣は濡れた歯をまた一本吐き出した
わたしはそれを拾い上げ弄ぶ
弄んでいるうちに崩れて消えてしまう

死にたいね
と言い間違えないように気をつけながら
つまらないね
と獣に言ってみる
獣の解する言葉は
死にたい
のたった一言だ
そうわたしが口に出せば獣は容易く
わたしをその真っ黒な身の内へ飲み込んで
容易く殺してしまうだろう
それは奇妙に深い安堵をわたしに与える
安堵しながらわたしは束の間ねむる

開け放った窓から温風が入ってきて
部屋の中を歩き回っている気配
眼を開けると
温風の履いている白いスカートのすそが見える
もう外はよほど暗く
もはや何を識別するのも不可能である
獣がまた一本
歯を吐き出す音
カチリ
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