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新年の陽射しは蛍光灯に似ている

2011年01月07日 18:43


大晦日の夜
ひとりで背を丸め
眼鏡のレンズを拭いてゆく
両の硝子レンズには
この一年
わたしの見た光景が記録され
何層もの薄い膜となって
貼りついているから
去年や一昨年と同じように
こんなこともあったと思い返しつつ
上から順々に拭き取ってゆく
すべて拭き取り終えたころ
ちょうど年があらたまった
透明に戻った眼鏡をかけて
あらたまった世界をすみずみまで眺める

ちなみに去年みたもののなかで
もっとも多く
レンズに貼りついていた光景は
夫の背中でも部屋の壁でもなく
ただ音もなく澄みわたった
一面の青い空であった


元日の路地裏を歩く
わんわんと子供たちの声が
色とりどりのごむまりのように
あちらからもこちらからも跳ねてくるが
子供も大人もひとりもいない
いやにがらんとして見える
ふとうつむくと路上には
わたしの影のほかにも
たくさんの人影が落ちていて
それが走ったり立ち止まったり
そこいらじゅうを
せわしなく動き回っていた


遅い初詣へ出かける
閑散とした境内で願い事をして
おみくじをひいた
商売や恋愛や出産のところは
よろしいが用心せよ
と書いてあるのに
待ち人のところだけが
来ず
といやにきっぱり書いてある
思い返せば去年ひいたおみくじにも
待ち人が来ないと書いてあった気がする
無意識のうちにわたしが待っているひとは
いまどの辺にいるのだろう
顔がわからないから探すこともできない
遠い遠いところから
夜のようにじわじわと
それでもこちらへ
向かって来てはいるのだろうか
マフラーを巻き直して帰途につく
三が日を過ぎた町内は美しく暮れ始め
カレーのにおいが漂っている

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