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One year of us.

2011年01月01日 12:15

★一月

一月の寒さが床にさざ波を立ててわたしのくるぶし濡らす

元朝にぼくらは羽化しあたらしくやさしく強く生き直してく

★二月

目をすすぎ夢の断片流し去る悪夢ばかりを見ている二月

如月のまだ濡れている太陽はチャーミーグリーンのにおいがしてる

★三月

三月の明るい土手で夢想する世界が終わるときの光景

公園の隅で逆上がりする子らがくるりくるりと青空を踏む

★四月

毛羽立った四月の陽射しが眼球を優しい爪のように引っ掻く

たくさんの金魚を埋めたあの場所に菜の花びっしり咲いてる卯月

★五月

思春期の少年に似て新緑は五月の夜にぎしりと伸びる

体内で芽吹いた言葉が花ひらき口からはみ出す初夏の教室

★六月

雨という透明な檻にとらわれて僕らどこへも行けないみたい

六月の躰は海を恋しがりだんだん魚に退化してゆく

★七月

七月の放課後だれかの歌声が涼風りょうふうとして青田あおたを渡る

太陽が七月を荼毘に付している日暮れの空がすこし焦げてる

★八月

八月の陽射しがとても鋭くて僕たちみんな傷だらけだね

いらいらと消費されてく制汗剤のように消費される唇

★九月

合唱部の混声練習きこえてる金木犀の香が満ちている

封筒に九月の銀河を閉じ込めて遠くで生きてる君へ送ろう

★十月

ただ聞いてほしいだけだとダイドーの自販機に話しかけてみる秋

ためらい傷に似た飛行機雲が伸び十月の空はしみじみ高い

★十一月

切れかけて点滅してる街灯に合わせ点滅してみる(さびしい)

部屋の隅の闇に名前を付けて呼ぶ十一月の夜は静かで

★十二月

前を行く男女のコンビニ袋からコンドームの箱はみ出している

クリスマスケーキの砂糖人形は夢みせ終えたサンタの遺骨








追記
【新春企画 - diary 2011】にて、一月の歌を詠ませていただきました。素晴らしい企画に参加できたこと、とても光栄に思っています。今回の作品は、十二ヶ月分の歌を自分一人で詠んだらどうなるのかという興味から書いたものです。diary 2011と併せてお楽しみいただければ嬉しいです。

2011年1月1日 吉田群青
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コメント

  1. 小林柳 | URL | C3gQj7KE

     七月の一首目が一番すきです。高校を囲んでいた田んぼの青さ、人のいない教室を抜ける風のぬるい温度、誰かの話し声や練習中の合唱、そういうものの記憶が突然この歌で鮮やかになったので、どきっとしました。そういえば夏は半袖のワイシャツ着て、自転車で通ってたなあ、とか思い出してしまいます。正月なのに夏の気分になってしまい、なんだか落ち着きません。
     いい歌をありがとうございました!

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