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体温をわかちあって死んでいこう

2010年05月13日 10:06


18の頃
わたしたちは双子だった
心拍数もまばたきの回数も歩幅も
すべてがそっくりおんなじで
毎晩おなじ夢を見た

君が持っていたのは
右腕と右足 右心室と右心房
わたしが持っていたのは
左腕 左足 左心室と左心房
わたしたち
これまでどうしてあんなに
不安定にしか生きられなかったのか
ようやくその理由が分かった
君には左側を
わたしには右側を
補うものがなかったからだったんだ
それはとても簡単なことで
だから尚更
いままで気づくことが出来なかった

気が狂ったみたいに笑い合った
空一面に星がちりばめられていたあの夜
居酒屋からの帰り道
そうして生きていけるものだと思っていた
永遠に


結婚してから
君は背が伸びて
年のとりかたがほんの少し早くなった
わたしは背が縮んで
年のとりかたが遅くなった
そして
君は大人の男性へ
わたしは大人の女性へと進化して
もう
あんなに笑い合うこともない
朝から晩まで青ざめた顔で仕事をする君と
朝から晩まで頬を紅潮させて家事をするわたし

ふと
指輪をしたまま
皿洗いをしていたことに気付いて
銀に光るそれを抜く
勢いあまって薬指ごと取れてしまう
ごとり
という感触がして
さびしい


毎晩
眠っている君の横にそっと滑りこむ
何をするわけでもない
君の肩のくぼみに顔をうずめて
君の体臭を嗅ぐ
君の寝息に合わせて呼吸をしてみる
つめたい君のわき腹に
自分のおなかをくっつける

わたしたち
双子に戻ることが無理ならば
せめて
体温をわかちあって死んでいこう
こんなふうに

く、と君が深い息を吐く
その息はわたしが夕飯に作った
塩さばとお味噌汁のにおいがして
いま君は何の夢を見ているんだろう

わからない

眼をつぶっても二度と
同じ夢を見ることはできない



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