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リアルのめろんぱん

2006年08月22日 10:57

夏の夜
アスファルト
息絶えた世界

わたしはコンビニ帰りだった
ビニル袋は蝉の抜け殻じみた音を立て
中にはめろんぱんが入っていた

白線を辿りながら歩いてゆくと
おんなのひとのソプラノ
が聞こえた
耳を立てて聴き入ったら
それはソプラノ
ではなくて
オルガン
の音だった
誰かがG線上のアリアを弾いているんだ

まるい濃密な音が
夜空にしゃぼんのように
完全な円形をたもってのぼってゆく

円形を追い掛けてゆくと
駅のちかくのぼろアパートの前に出た
一階の右端の部屋
カアテンが少しひらいていた
覗き込むと
長方形の身体をした男の人が
オルガンのまえに坐っていた
かれが窮屈そうに鍵盤を押すと
海の香りとともに
透明な音符が生まれ出ずる
瞳がうす青く見えた
悲しんでいたのかもしれない
蛍光灯の
大きいほうの輪っかが切れていた

その部屋には
何か息苦しいものが充満していた

リアル
だったのかもしれない
生々しい程の

わたしは
そっと窓から離れて
三十歩ちょうど歩いた

三十歩ちょうど歩いた地点で
立ったままめろんぱんの
プラスティックの袋を
ひっちゃぶいて噛った
ほろほろと唇で崩れた生地は
全然めろんの味じゃなかった
もっとにがい味だ

リアルと化学反応したのかもしれなかった

オルガンは続いている

恋をしているのかもしれなかった
わたしもかれも

前進したら
敷石につまづいた
転倒した瞬間
ぴたりとオルガンは止んだ
柔らかなおなかのしたで
リアルのめろんぱんは
しゅくっ
つぶれてしまって
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コメント

  1. 禮 | URL | -

    ひっちゃぶいて、とか
    ほろほろ、とか
    しゅくっ

    の表現に感激してしまいましたよ。

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