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夏の終わり

2009年09月02日 14:58


砂浜に片耳を押しつけて
膨れ上がってくる海を見ていた
波が打ち寄せてくるたび
呼応するようにわたしの体からは
水分が流れだして
おなかを生温かく濡らしてゆく
そうだ忘れかけていたけれど
わたしたちは三十八億年前に
海で生まれたのだったね
でたらめに描いた波打ち際の絵は
とうに消えてしまって
沖の方に青白い手が突き出て揺らいでいる

わたしは
きっと一生泳がない



夏の日の昼間
ふとんを干しにベランダへ出ると
やわらかい赤ん坊の泣き声や
ひるがえっているレースのカーテン
遠くで誰かが聴いている
フィッシュマンズの淡い音など
あまりに平和な光景がひろがっているため
つい安心してうとうとと眠ってしまう
陽の光を受けて温まったふとんに頬をつけると
妙に色鮮やかな夢を見る
ぴんくいろの軟体動物に
あいしてる
と言ったところで目が覚めた



はちがつは永遠には続かない
月曜日が永遠には続かないのと同じことだ
夕暮れの色がだんだんに褪せてゆくのと同時に
誰もが
はちがつのことを忘れてゆく
生乾きの傷みたいな朝焼けのことも
舌をまっさおに染めるブルーハワイのことも
夜ふとんから出していると
何かに持っていかれそうだった
たよりない両足のことも
知らぬ間に
遠くなって

わたしも君も知らない人も
そうして何年も生きてきたんだ

どこからか
秋刀魚の焼けるにおいがしていた






2009/8/29
つくば朗読会 詩の音
@kitchen Soyaにて朗読。
多少訂正。
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