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幻獣・女子

2009年07月23日 04:29


女子たるもの匂いに気を配るべし
という記事を立ち読みしていた週刊誌で読んだ
コンビニを出てから肩のあたりを嗅いでみたのだが
なんだか汗じみた獣くさいにおいがした
おおこれはいけない
女子というものは幻想の生物である
自らを美しく見せるのが義務である

急いでコンビニに戻り
コスメコーナーとかいうところに並んでいる
しゃらくさいような小さな瓶を手当たり次第に買い込んで
家へ戻った
そしてインターネットで
薔薇のにおいのするという枕を注文した
これで万全である
わたくしは幻獣・女子としてこれから生きてゆける
コスメグッズの封を破り
顔に塗りたくって眠った

三日ほどで薔薇の枕は届いた
乏しい金を払って受取り
ついでに
宅配業者のお兄さんにウィンクなどしてみたのだが
お兄さんは わあ化け物 などと叫んで
ドアを乱暴に閉めて逃げてしまった
失礼千万である
薔薇の枕は確かに薔薇のにおいがした
と言っても
わたくしは本物の薔薇の香りを嗅いだ事はない
香水や化粧品に配合されている
ローズエキスの香りなら知っているが
野薔薇が初夏の風にそよぐとき
大輪の薔薇が早朝の空気のなかで
打ち震えて花開くときの香りは知らない
まあ大した問題ではないだろう
うきうきしながらその日は薔薇の枕で眠った
いいにおいの怪獣に殺される夢を見た

一週間ほど経って
薔薇の枕から厭なにおいがし始めた
陽に干しても抜けない
何かが朽ちてゆくようなにおいである

それでもそれから一週間程度は耐えて
その枕で寝ていたのだが
どうにも酷いので棄てることにした
枕はどうして棄てるものやら分らぬので
裁ち鋏を出してきて
じょりじょり
と切り裂いてゆく

すると中からは腐って変色した薔薇の花弁が
あとからあとから無数に出てきたのであった
花弁はすでに乾ききって
畳の上でかさかさと虚しい音を立て
思わずひいと声を上げた
コスメグッズを塗りたくった顔は吹き出物で
よけいに酷くなり

なんだかおそろしかったのだ

とてもおそろしかったのだ
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