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夏のこと

2009年06月05日 03:23


此の頃
朝起きると見憶えのない傷が
いろいろな場所についているようになった
オキシドールで消毒をしながら
夏が来るのだなと思う
春の頃より鋭さを増した風は
銀色に光りながら硬質な音を立てて
わたしをはじめさまざまなものを
切り開きながら過ぎ去ってゆく


ぼんやりと道を歩いていると
前を歩いている人が突然咳き込んで
金魚を一匹するりと吐いた
その人はそのまま行ってしまったのだが
金魚は生きているらしく
しばらくぴちぴちと跳ねていた
かわいそうになってハンカチでくるみ
持って帰って飼ってやることにしたのだが
帰宅してからハンカチを開いても
そこには何もくるまっていなかった
ただ赤い染みがついているだけで

そのときの染みは何度洗っても
落ちることはなかった

あのとき金魚を吐いた人は
いったい誰だったんだろうか
近所の人に聞いてみても
そんな人は知らないと言う
ようく思い出してみると
あの人には顔が無かったような気がする
多分
この世のものではなかったのだ


暮れてゆく空がざわざわと音を立てて
耳に入り込んでくる
それが嫌で
イヤフォンをきっちりと耳にはめ込むのだが
そのわずかな隙間からも夜は染みてきて
心が薄青くなるからさみしい
とぼとぼと歩くと
引きずっている自分の影の長さに驚いて
思わず立ち止まってしまう
もうすぐ家のすぐそばまで来ているのに
そんなことばかりしているから
いつまでも家に帰れないわたし
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