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祖父母を訪ねる

2009年01月15日 04:05

新年に祖父母の家を訪ねるとにした
特にどうという理由もなかいのだが
しいて言えば少々の金が入り用であった
アパートの部屋は底冷えがする
旅慣れていないので
何を持っていけばいいか分からないが
鞄に
とりあえず牛乳石鹸と
ボールペンとを押しこんで出かけた

そのまま電車に乗って
一眠りする
眼が覚めると
わたしはもう
祖父母の家に着いていた
なんだか真っ暗だ
こんなに真っ暗だったかなと首をかしげていると
正座した祖父母があらわれた

彼らは去年よりもさらに色褪せて
体もずいぶん薄っぺらい
だんだんモノクロの遺影になってゆくようだ
雑煮を出されたが
中には餅がひとつも入っていなくて
餅の代わりに
セルロイドのキューピー人形が入っていた
箸でつつくとぴゅうと鳴く
少しだけ食べてやめにした
あんたなんでぜんぶくわんのじゃ
祖母が首を傾げたが
とても本当のことは言えないから
あまり空腹ではないのだ
とだけ言って煙草に火をつけた
おまえ あんまりすうとながいきできんぞ
言いながら祖父がキューピーを
頭からばりばり噛み砕く
切ない気持だ
滑稽な光景なのに
なぜか非常に切ない気持だ
封筒に入れられた金を貰った
一応お辞儀をして
祖父母の家をあとにした

帰途にて
そわそわしながら封筒を開いてみる
するとそこには
金ではなくて
A4サイズの白紙のコピー用紙が
丁寧に折りたたまれて入っていた
少し考えてから
でも仕方がないのだろう
溜息をついて紙を折りたたむ

鞄をあけると
祖父母の仕業だろうか
なぜか蛤が大量に入っていた
牛乳石鹸のにおいがする
蛤が膝の上でごゆごゆして
泣きたいような気分である
祖父母の顔を思い出せない
さっきまで会っていたはずなのに
どうがんばっても思い出せない

行きはあっというまだったのに
帰りは随分長くかかる
わたしは遠くまで帰るのだ
そこらへんに様々な人を置き去りにして
顧みもせず帰るのだ
車窓に映る自分の顔が
妙に薄情そうに見えた


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