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穴を掘る

2008年12月17日 10:06

穴を深く掘ると
昨日につきあたる
とわたしに教えたのは
いったい誰だったのだろう
それからわたしは幼少期から今まで
ずっと
穴を掘り続ける羽目になった
公園の
砂場の砂はさらさらとして
時折にごった水が湧き出してくる
使っているシャベルは
家の車庫にあったもので
人を殺した後のように錆びついている

朝から夕方まで掘り続けると
穴は結構な深さになるが
暗くなってくると
なんだか怖くて
いつもも元通り埋めてしまう
闇が満ちてきて
それが穴の中に溜まって
何か大きなものとなり
襲いかかってきそうな気がするんだ

おまえはほんとうにこわがりだよ
何もかも知っているような顔をして
通りすがりの老人が呟く
公園はもうあらかた掘り返してしまって
至る所に積み上げてあるのは
わたしが地中から掘り出した
数多のがらくたどもである

遠くから学校のチャイムが聞こえてくるのは
いつも決まって午後五時だ
それを聞くと自動的に
わたしの足は家へ向かって動きだす

今日も昨日は見つからなかった
明日も今日は見つからないだろう
何年も前から
同じところで同じことをしているわたしは
ちっとも背が伸びず
今でも童女のような姿をしている
周囲ばかりが老いてゆく
わたしを置いてきぼりにして

玄関の引き戸を開けると
誰もいない家の中は
ひっそりと静まり返っていた
両親も兄弟も
とっくの昔に死んだのだ
それでも一応
ただいま は
忘れず言うようにしているけれど

何百年も前から狂わない
居間の振子時計が
あわてたように午後七時を打った



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