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ひとびととわたくし

2008年12月15日 03:43


背後で かちん と
金属質の音がした
振り返ると人が倒れていた
背中の真ん中からぜんまいが生えている
それが切れたのだろう
自分では巻けないのかもしれない
手を伸ばして
いっぱいまで巻き切ってやった
ゆっくりと起き上がるぜんまいの人
鼻の形が大変素敵だ

それから
ぜんまいの人は
刷り込まれたように
何をするにも
わたしのあとをついてくるようになった

それが今の
わたしの夫である
くすぐると
いつでも悦んで
鉄くさい油をぼたぼた垂らす
そこがとてもいいと思う


真夜中
閉店した洋品店の前を通りかかると
暗いウインドウの中にマネキンが立っていて
それがどうも妹のようだった
洋品店だから
すごくシックな服を着せられていて
童顔の妹には
まるで似合っていない

こんこん
とノックしてみたのだが
知らん顔で
動くことすらしないのだ


それから
夜じゅうノックをし続けていたので
今朝はひどい寝不足で
だからあの
仕事やすんでいいですか
と上司に電話をしてみたら
嘘をつくなと怒られてしまった
ほんとうのことなのに

今日もあのウインドウで
妹が立ち続けていると思うと
かわいそうでたまらない
だいいち春の服なんて寒いだろう
まだ十二月じゃないか


コンビニのレジ横にある募金箱へ
いくらかお金を入れようと思い
ポケットをさぐると
プラスティック製の釦がひとつ出てきた
それっきり
あとは何も入っていなくて
虚しい

それしかないので仕方ない
プラスティック製の釦を
募金箱へ入れる
しゃかん と軽い音がして
それを見ていたアルバイトの青年が
顔を赤らめながら
制服の釦をちぎりとり
同じように募金箱へ入れた
危うく
恋をしてしまうところだった


路上を歩くひとの胸から
青い鳥が音もなく飛びたつのを見た
いろんなひとびとがあのように
青い鳥たちを逃がすから
空というのはどこまでも
かなしいくらいに青いのかも知れない
それにしても
無意識のうちに
何かをのがしてゆくひとの口は
何故あんなにも黒々と開いて
びゅうびゅうと音を立てるのだろう
わからない
息を吐くと
びゅうと音がして
は、と見上げると
ちょうどわたしの胸からも一羽
青い鳥が飛び立ってゆくところだった






※作者コメント
またやってしまいました。ポケットに釦。無意識に書いてしまいます。ポケットに釦が入っていて、なんやかんやという展開が書きたいのだろうと思います。書き飽きるまで書いてみよう。
このネット詩集は、スケッチブックのようなもので、書けたものはとりあえずアップしています。
読みにくいものも多々ありますが、今後ともよろしくお願い致します。ちゃんと書いたことがなかったので書いてみました。では。

12/15 吉田 群青
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