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せっくす

2008年11月26日 01:34


緑茶の葉を急須へ入れて
熱湯を注いでいるときに
ふと君が欲情した
急須の
先細ってゆく流線形に
触発されたのかも知れなかった
電気を消した時いっしゅんだけ
光るものが眼の端にうつって
あれは君の心臓が
燃えはじめる瞬間だったのだろうか
さみどり色のお茶が
何か親しいもののように
暗闇に湯気を立てている


その動きは
トランペット奏者が
ファンファーレを吹くときの
せわしない動きに似ていると思う
いぐさのにおいがする和室にて
君は体ぜんたいを遣い
ひそやかにファンファーレを演奏する


一方のわたしは
冷たい指先を軽く握って
なるべく関係のないことを考えていた
関係のないことと云っても
たいていは
鯖という字の魚偏の横にある
青に似た形を見つめていると
世界がずれていくような感じがすることとか
今日の占いでてんびん座が最下位だったこととか
そういうたあいもないことだ
その方がより他人になれる気がする
天井に映る影が大きく伸びて
なんだかわたしたち
鳥のようだった


疲れきった体を傾けて
最後の一滴まで
いのちをこぼした直後
君は少しの間死んでしまう
点々とこぼれたしみのひとつひとつから
まっ白い花が咲いている
生命の神秘
せいめいのしんぴ
と呟いて
わたしはその花をむしり取る
いつの間にか
生きたい
と思っていた


やがて息を吹き返した君が
うすめをあけてわたしを呼んだ
なんだか遠い感じがした
日々
遠ざかっていっているみたいだ
そのうちひとつの点となって
えいえんに
消えてしまうような感じだ


食卓へ戻って緑茶を飲むと
ちっとも冷めていなかった
きっと時間が止まっていたんだと思う
緑茶を飲みながら花を食べる
苦いような味がして

もう一度
生きたい
と思ってからすぐに
焼けつく様な熱さで
死にたいと思った

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