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ザ・秋

2008年10月26日 06:22


夏の間にとろけて形を失った人々が
寒くなるにつれて
にんげんのかたちに
戻りつつある夕暮れ
しかしそれはまだ完全ではないから
歩く人々の背中には
薄い羽が生えていたり
胴から伸びる脚が三本だったりする
それはわたしも同様である
二本の脚がつながってしまったので
なめくじのように這いずりまわるしかない

風がしゃりしゃり音を立てて吹いてゆくので
じき冬がくるとわかる

4Bの鉛筆ででたらめに引いたような地平線へ
毛羽立ったような太陽がぽとっと沈み
世界が一瞬消滅する


路上にぽつんと立つ友達を見つけた
その友達は東京に住んでいて
こんなところに居る筈はないのだが
首をかしげながらとんとんと肩を叩いてみると
友達は ぱん と破裂してしまった
後ずさって腰を抜かす
気が付いてみると周囲には
もう会えない友達や
昔の恋人なんかがにこにこ笑いながら
輪になって立っているのだ
そして少しずつその輪をせばめて
わたしのほうに近づいてくる
いつしかその人々の顔は
いたずら描きのように歪んでいる

いやだと首を振ると消えていった
路上に残ったのはわたしとわたしの影ばかり

呆然とするわたしの舌の上で
空気がキャラメルの味をたてて
ゆっくり甘く溶けてゆく


どこの女の子の持ち物だろうか
お人形がとことこ道を歩いてゆく
レエスの小さい服がひるがえって
その後ろに
持ち主だろうか
女の子がお人形のように硬直して
あおむけに倒れている
晴れた空が映る瞳は
まるっきり真っ青で
宝石のように光っている

なにも止めるもののない乾いた道の上を
お人形がひとりでとことこ歩いてゆく
その後ろから同じように
持ち主を捨てたお人形たちが
美しいパレードのように並んで歩いてゆく

落ち葉が舞っている
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