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わたしは黙ってじっと見ている

2008年09月24日 23:05



雑居ビルの二階
キャバクラ前の
うすぐらい階段の片隅に
制服を着た女の子が
ぺたんと座っていた
長いコードがのびていて
何をしているのかと思ったら
電気を盗んでいるのだった
何か分からない電気器具のコンセントが
ソケットの
闇の
奥深くに押し込められている

時折小さな放電が起こるのか
青い電気の灯が
一瞬だけ辺りを照らしだし
その間女の子は
空とも天井ともつかぬ
どこかはるか上空を
口を半分あけて見ているのだった

手を伸ばしてコンセントを抜いてみると
途端に女の子は横倒しに倒れて

きらきらしたものを
たくさんばらまいたような気がするのだが

あれは
自分自身を充電していたのだろうか
見開いた女の子の眼の中には
!!という絵文字が表示されていて

それが
いつまでも消えない


恋人たちが
夕暮れの浜辺を
手をつないで歩いてゆく
その足取りは
夜に目覚める生き物のように
ひかひかしたものである

二人の顔はよく似ていて
とてもよく似ていて
どちらが男でどちらが女なのか
まるで判別ができない
そんなことは
どうでもいいのかも知れない

やがて彼らは
波打ち際にしゃがむと
そのまま魚に姿を変えて
沖の方まで泳いでいった
二足のエナメル靴だけが
砂浜に取り残されて

海面は凪いでいて
ノイズのような波音が響く
月光だけが
行くべき道を照らすように
静かに降り注いでいた


明け方の町で
上半身裸になって
飛ぶ練習をしている人を見た
たぶん彼は肩甲骨が
昔あった翼の名残と思っているのだろう
腕を変な風に動かして
いくつも開けているピアスを
じゃらじゃら云わせながら
そこいらじゅうを走り回っている

人はみな
海から進化したと
教えてあげた方がよかっただろうか

だけどあの眼は
曇りの日なのに真っ青な空が
べったりと映っているあの眼は
壊してしまったらきっと
二度と戻らないだろうから

羽ばたく青年の背中から
羽毛が幾枚か舞ったような気がした
もちろんそれは
眼の錯覚
だったのだけれど
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