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植物と不確かな存在の感覚

2008年09月19日 11:49



或る日
裏の畑に
変なものが咲いているのを見た
絡まりくねった橙色の植物
動物的なにおいを発し
触手のようなものを
ひよひよと動かしている
ルーペでよくよく観察してみたら
それは
愛し合う男女の
なれの果ての姿であった

また或る日
古民家の庭の柿の木に
実がなっていた
ちょうど何か食べたい気分だったので
少しおすそわけしてもらおうと
その古民家の戸を叩いたが
しんと静まり返って
誰も出てこない
青い空気の中に埃が舞っている
ずいぶん前から空き家なのだろうか

ならば黙って戴いていこうと
実に手をかけた瞬間
どこからか誰かの怒鳴る声が聞こえた
周囲を見回しても誰も居ぬ
手の中を見てぎょっとした
怒鳴っているのは柿の実で
その表皮には人面が浮き出している
どの実もどの実もそうであった
かっと口をあけたその顔は
なんだか少しかわいそうだ
何もかもが
いつか必ず消滅することを
知らずに執着しているようで

家に帰ると飼い猫が
空の植木鉢に入っていた
なぜ猫というものは
狭いところへ入りたがるのか
自分の限界を知りたいのだろうか
どう呼んでも出てこないので
鉢を逆さにして振ってみる
しかしそれでも出てこない
つまみだそうと手を入れると
思いがけない
かさかさした感触が伝わってきて
どきりとして中を覗く

鉢の中にあったのは
夥しい枯葉の折り重なったもので
そこに猫はいなかった
どこにも猫はいなかった

わたしは今までずっと
これを猫だと思っていたのだろうか
何もかも不確かに思えて目眩がする

風も無いのに枯葉が舞いあがって
ああ仰向けに倒れてねむりたい
腐り果てるまでねむっていたい



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