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電車についての話

2008年08月07日 18:33



快速の電車に乗ってすごい勢いで
風景を走り抜けていく時
停まらない駅のホームに
昔好きだった人や
もう会えない人が
ぼんやり立っているような気がする
別れた時の服装で
別れた時の年齢のままで

行き過ぎる時一瞬だけ
早朝の光のようにちかりと笑う
急いでドアに貼り付いて
通り過ぎた方を見ても
そこには既に誰もいない

なんだかひどく悲しくなる
みんなどこかへ行ってしまって
わたしだけが揺れながら先へと向かっている
どこへ行くのか分からないまま
泣きそうな顔で


プラットフォームの端から端までを
毎日駆け足で往復している子供がいる
場所は特に決まっていない
一番ホームだったり五番ホームだったりする
わあああ と云う声は甲高く白い空へ突き刺さり
粉々になって落ちてくる

わたしはいつも見ているのだけど
他の人には見えないみたいだ

一度 向かい側のホームで
珍しく立ち止まったその子に
手招きをされたことがある

その途端に線路に落ちそうになって

ああ人間ではないんだな と気づく

真夏になってもトレーナーで
最初に見たときからもう何年も経っているのに
ちっとも成長しない
帰る家が無いのだろうか


帰宅するため電車に乗る
外はすっかり日も暮れて
窓は真っ黒く塗りつぶされたようになり
不健康な青白い光が降り注いでいる

その下でひよひよと揺れる乗客たち
みんな吊革につかまって
疲れて細長くなり
身長が普段より伸びている

たたんたたんと揺れながら
眼の前の窓を見つめたら
知らない人が映っていた
眉をしかめた不機嫌そうな老婆である
驚いて見回すと
隣で携帯電話を遣っている人は
窓の中で子供になり
化粧をしている人は大きな蝶々だ

そういうものかと納得して
また正面を見る

電車は街灯をいくつも飛び越して
降りる駅はまだまだ遠い




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