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夜行性の人たち

2008年06月20日 02:45

昼間の温度に熱せられた月が
夜空に浸されて しゅう と云う
それを合図にするみたいに
そこここの家から
夜行性の人たちが
家族を起こさないようにそうっと扉を閉めて
裏口からぞくぞくと這い出してくる

月に向かって鳩を飛ばすのは
売れないマジシャンだ
デパートの屋上ではいつも失敗するのに
夜空の下でなら
驚くほどなめらかに
色んなものを取り出せるようになる
鳩でも友達でももう一人の自分でも
見えない喝采を浴びて
マジシャンは少し涙ぐむ

その横では母親に内緒で犬を飼っている子が
そっとそれを箱から出して
今だけ自由に駆け回らせてやっている
本当にその子は小さくて
だから解らないんだろうけれど
あれは犬でなくて虎である
どこから拾ってきたか知らないが
その子の虎はもう余程大きくなって
箱に入りきらないほどだ
ぐるると牙を剥く虎を
子供は無防備に抱きしめる

その傍で女の子が子供を生んだ
高校のジャージを着て
あお向けに震えながら
女の子は生んだ子供をつまらなそうに見やると
携帯を取り出して誰かに電話をしながら
どこかへ歩き去っていってしまう
赤ん坊はしばらくぎゃあぎゃあ泣いていたが
そのうち夜そっくりの鳥になり
ぎゃあぎゃあ鳴きながら飛んでいった

鳩が飛び回り
影は既に長く伸びた
祈るみたいに
画家が空に白く雲を描いてゆく
学校で習った数式や英単語を
全部ばらまいて
星にしている男の子がいる

わたしはベランダに頬杖をついて
その営みを眺め続ける

流れ星みたいに
最終列車が
軋みながら駆け抜けてゆく
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