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からすの話

2007年10月02日 16:33


その子は
頭がよくありませんでした
見た目もそんなによくありませんでした

休み時間には図書室へ行き
ひとりで黙って本を読んでおりました
その為クラスの誰一人
その子の声を
聞いたことのあるものはいませんでした

その子の髪は真っ黒で
なんとなく陰気な感じを漂わせていたので
みんなからは
からす
と呼ばれていました

からすは二学期の途中で
いなくなりました

先生が言うには
からすは読書をしているうちに
物語の向こう側へ行ってしまったのだ
ということでした

そのうち校内で妙な噂が立ちました
図書室にある本のどれかを開くと
挿絵の中にからすがいる
というものでした
挿絵の中のからすは笑っているそうです
きっと幸せなんだろう
とみんなはひそひそ話しました

先生は何でも知っているはずなのに
そのことについては何も教えてくれません

からすがいなくなったのは
本当は人さらいに連れて行かれたのだ
と言う者もあります

だけどみんなには
本当のところはよくわかりません

ただ
こんなに子供がたくさんいる場所では
一人くらい誰かがいなくなってしまっても
不思議はないというものです
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コメント

  1. | URL | 6moyDOY6

    相変わらずシュールで独特のこの雰囲気が大好きです。
    このからすの詩は、何だか、いまの時世を暗喩しているように感じました。

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