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稲穂/悩み/ゆり

2007年09月05日 12:55



秋の茫々とした田んぼに立ち尽くす農夫は
いつも途方に暮れているように見える

体を斜めにして
黒々と口をあいて

むぎわらぼうしの隙間からは
夏の名残の入道雲が
少しばかりこぼれ出して

その姿はまるで
放課後
男子の机に置き去りにされた
使い古しの消しごむのようだ

不意に
乾いた透明の風が
ざざあ
と激しく稲穂を揺らした
と思ったら
もうそこには誰もいなかった

きんいろの海は
農夫を飲み込んでなお
ますますきらめいて

ああ今年もここいらのお米は
きっと豊作であろうと思った



寝ても覚めても
鋭利なまま
ずっと内側を傷つけ続ける
破片のようなかたまりを
人は悩みと呼ぶのだろう

わたしは
鋏が見当たらないときなどに
胸の内から悩みを取り出し
レターオープナーとして活用しているが

すきっ
と切れて
なかなかいい案配である

泣いてばかりは
いられないのである



ゆり
という子が親類に一人いる
その子は度々花粉を飛ばす

なぜそんなことをするのか聞くと
だってあたしゆりだもん
と答えた

ゆりを抱いたあとの服は
黄色い花粉だらけになってしまうから
ジャージを着てから抱くことにしている

ゆりは小豆色のジャージの中で
今日も美しく花粉を飛ばす

彼女はきっとこれからも
当たり前の生殖活動は出来ないだろう

空を指差すゆりの腕は
青白くて細長い

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コメント

  1. 慧 | URL | -

    ゆり、いいです。最高です。花粉を飛ばす所と、生殖活動ができないだろうってところが群青さんらしくて最高です。

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