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ある夜の、わたしたちの健闘

2007年07月15日 20:39


風呂上がりに
扇風機と遊んでいたら
妹が足音を盗みながら部屋に入ってきて
妊娠したかも知れない
と打ち明けた

扇風機の風は弱に設定しておいたはずなのに
妊娠
と云う言葉が発されるやいなや
興奮するみたいに風を強めて
びゅん
とわたしたちの前髪を舞い上げた

わたしは無能な姉だから
妊娠したことなんて一度もない

妹は小さな顔を板みたいに薄っぺらくさせて

なんだか可哀相だ
いつだって妹は可哀相だ

わたしたちは
顔を寄せ合って
自然に流産するにはどうしたらいいか
ひそひそ声で話し合った

妹のセックスについてや
処女喪失の場所や
相手の男のことはどうでもよかった
それどころではなかった

妹は風邪薬を嚥下したり
布団の上で跳びはねたり
わたしの古ぼけた国語辞典で
おなかをどんどん叩いたりした

そして
それでもまだ足りない
と言って
わたしにお腹を叩かせたりもした

妹のお腹は柔らかくて白くて
叩くたびにりんりんと鳴り

確かにその中には今まさに
子供がいるようにしか思われない

明け方
なにもかもやり尽くしたわたしたちは
朝日を浴びて向かい合い
お疲れ様でした
と言うと
お互いの健闘を讃えて握手した

妹のお腹は真っ赤になってて
わたしの手は蟹みたくなってて

妹はぐったりした様子で
わたしの布団に横たわると
もし流産してなかったら
生まれてくる子供は
お姉ちゃんに似てたらいい
とため息をつくように静かに言って
すぐに眠りに落ちてしまった

蟹の手で静かに毛布を挟み
そろそろと体にかけてやる
すると妹のお腹からは
りんりん

喜ぶみたいな笑い声が聞こえた
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