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文房具に関する三つの話

2007年07月05日 13:06



エプロンの右ポケットに
入っている輪ごむは
いつも
いつの間にか
増殖している

ぷりぷりと震えて
産まれ続けているのだろうか
おかげでわたしは
なにかを束ねるのに困ったことはないが

束ねるべきものが無くなってしまっても
輪ごむはまだ増え続けるのだろうか

この頃わたしは毎晩のように
輪ごむで窒息する夢を見る


えんぴつが無くなってしまったので
森へ採りに行った

えんぴつの樹は
森の奥深くに
新月の夜にだけ生えるのだ
あたりには削りかすのにおいが
静かに充満して
まるでわたし自体が
芯になってしまったかのようだ

うっとりした気持ちで
よく尖った枝を
二三本折り取って帰る

帰ってから
君に手紙を書いた

採りたてのえんぴつは
やっぱり新鮮で
文字なんか夜の闇で書いたみたいに
黒々と美しく湿っていて

とりわけ
さよなら
の一行なんて
見惚れるくらいに鮮やかだ



小さくなった消しごむは
己の姿を恥じるようにして
とたた

走って逃げてしまう

猫みたいに
わたしの知らない
どこか遠いところへ行って
そこで息絶えるのかもしれない

新しく買ってきた消しごむは
自意識過剰な若者みたいに
まだ固くて粉っぽく
指に馴染むのを嫌がるみたいに
消さなくていいところまで消してゆく
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