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百鬼夜行/散歩

2007年04月15日 17:34


わたしが
散歩に出掛けるのは
嬉しいときではなく
哀しいときであると
相場が決まっている

その夜もわたしは
相変わらず哀しいままに
しょぼい安物のスニーカーで
しゅくしゅくと道を歩きまわっていた

夜の町の人達は
みんなお面をかぶっている
それは
天狗であったり
おたふくであったり
或は鬼であったりもするが
しゅくしゅくしながら
そういった人達と
すれ違うのは面白い

何人めかにすれ違った天狗が
わたしに声をかけてきた
知人の声をしていたが
定かなことはわからない

天狗は今現在自分が
どれだけ恵まれているかと云うことを
ちゅらちゅらと喋り散らし
わたしが愛想笑いを浮かべている隙に
ぎぎぎ
と喚きながら飛び立ってしまった

絶交しようかどうか悩むところである

更に暫く歩くと
般若と腕を組んだ鬼に出会った
鬼は恋人と同じ香水をつけ
わたしと同じ指輪をつけて
すれ違ったときに

と言った
般若は露出の激しい服を着ていた
成る程
ああいう女が好きだったのか

暫く歩いてから振り返ると
恋人も同時に振り返った
その面はもはや鬼ではなく
情けない老爺の顔に替わっていた

そんな顔をしても許してやらない

呟くとすかさず般若の女が
うるせえよ馬鹿
と叫び返してきた
やはり般若なだけはある
妙に感心してしまった
感心ついでにあの男は
生贄として差し上げることにする

散歩の終わりにコンビニに寄った
能面を付けた店員が
いらっしゃいませと発声する

ぶらぶらと雑誌コーナーの前に立つと
硝子にわたしの姿が映った
わたしは狐の面をつけていた

ためしに
こんこん
と鳴いてみた
意外とさまになっている

深く満足して帰宅した

そうして
冷蔵庫に入っていた手羽先を
むさぼり喰っているうちに
哀しい気持ちは無くなっていた

久々に安眠できそうだった
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