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わたしが見た空(改訂)

2007年02月04日 11:44



子供たちが
大きく漕いだぶらんこから
歓声を上げながら飛び出してゆく

とおい昔
まだ空を飛べた頃のことを
懐かしむように

たいていの子供は
ぶざまに落下してしまうが
一人だけ
本当に飛んでいってしまった子供がいた

彼は
牛乳にインキを落としたような
曇り空の彼方へ
吸い込まれるように
消えてしまった


ラムネ売りから
ラムネを買ったのは
夏で
夕立をたっぷり含んだ雲が
パンのように
膨らんでいるときのことだった

ラムネ売りから受け取った瓶には
ラムネが入っていなかった

その代わり
びいだまを押し下げると
勢いよく
虹が噴出してきた

ラムネ売りは無愛想に
当たり
とだけ言った


君に手紙を書こうとした
長い長い
けれども
ありふれたつまらない手紙を

何度も書き掛けては
反故にしているうちに
便箋が尽きてしまったので
眼の前の雲をちぎりとり
さよなら
とだけ書いて封筒に入れた

雲は意外につめたくて
ざらめが入っているかのように
べたべたと指にくっついた


あんぱんを買って噛ったら
餡ではなくて
夜が詰まっていた
残すのもなんだか癪なので
全部食べた

がりがりと歯に当たったのは
月だったのかも知れない
いやに尖っていたから


飛行機が通ったあとの青空には
すうっと切れ目が入っている

そうしてその切れ目からは
星が零れだしてくる

まだ零れたばかりの星は
そのまま地上に沈澱して
街のあかりに姿を変え

遅れて零れた星々は
空に留まって戯れ始める

持ち場を取られて
不機嫌になった信号機が
次々と赤に替わってゆく

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