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ユニオン兄弟

2006年08月08日 04:06


ユニオン兄弟、という人達が近所に居た

ユニオン兄弟はふたごで
顔も嗜好も声も性格も
まるっきり一緒だ

名前も似ている
兄はジャンだかジョンで
弟がジョンだかジャンである

区別がつかなくて困ります

以前に兄だか弟だかに言ったら
翌日から弟が金の鈴を
足首に付けるようになった

鈴は
りりん りりりん
と軽やかな音を立て
夏の昼下がりには
放物線を描いて飛び出す音符
透き通るかのよう

弟がうごくたびに
鈴はりんりん

ちょっと官能的だと思った
ちょっと官能的で良いな


それからわたしは
ユニオン兄弟のどっちとも付き合ってみた

兄はわたしの右眼を
弟はわたしの左眼を
覗くのが好きだった

そして同じような声で
君の瞳孔は井戸みたいに深いね

言う

ときたま
右眼にうつる兄と
左眼にうつる弟が
中央に重なってひとりになった
百分の一ミリも誤差はなかった
完璧だった

彼らは
本当はひとりだったんじゃないかな
今になって思う

あれからしばらくして
ユニオン兄弟は町を去った
何処へいったのかは知らない

去る前日に弟が来て
鈴を外してわたしにくれた
そして
君は結局ぼくらの見分けがつかなかったみたいだね
とほのかに笑った

寂しいというよりは
ぼんやりした

ぼんやりしたまま
あなたがたのどっちが本当なの
とたずねてみた

弟はそれには答えず
くるりと背中を向けて去った
鈴は弟の体温であったまっていて
やっぱりちょっと官能的だな

ぼんやり思った

それきり
ユニオン兄弟には会っていない

ただ
わたしの網膜には
ユニオン兄弟の像が焼き付いているらしく
右を向くと兄が
左を向くと弟が
いつでもそこにいるように見える

だんだん顔も似てきたようだ

わたしは
もしかしたら三人めのユニオン兄弟
になってしまうのかもしれなかった

鈴はまだ持っている
つめたく小さなそれを
時折
掌につつんでみる

りりん

眼をとじると
井戸みたいに深い瞳孔に
ユニオン兄弟が泳いでいるのが見える

鈴は錆び付きもせず
綺麗なまま

ふとそれを
足首に付けたい
と思った
何だかどうしようもないくらいに

紐を巻き付けるとき
かすかに胸がどきどきした

(※ユニオン【un-ion】

連結、結合、同盟。)
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コメント

  1. 不二子 | URL | -

    これすごく好きです。

  2. 三州 | URL | Gm7IFF.6

    ユニオン

    これは、ちょっといいね。

  3. ピクルス | URL | .zfh79b6

     
    これ、好きだな。
    余韻が、また。

    ありがとう。

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