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待ち合い室にて

2006年08月07日 14:15


病院に忍び込んで
ぜいぜい言うひとたちの間で
文庫本を読んでいた

外は暑くて
スペインみたいな匂いがして
でも病院の中は
とても寒かった

わたしは震えながら
赤いじゅうたんの上に
足をきちんと揃えて
文庫本を読んでいた

ふたつの足の甲は
なんだかキリンみたいに見えた
白々とわたしを見上げる
双子のキリン

ぜいぜい言うひとたちの体から
アルミホイルみたいな匂いがしたような

二百七十ページのうち
百八十三ページまで読み終えて
ふと
我に返ったら
もう外は夜で

誰もいなくなってた

なんだか
しみじみした気持ちになって
たちあがると
名前を呼ばれ

あれは
幻聴だったろうか

振り返ると
寒くて
のどがぜいぜいした
咳き込むと
指からアルミホイルの匂いが
安っぽくつめたいアルミホイルの匂いが

残響がこだました
くぐもった声

わたしを呼んだのは
あれは
誰だったかな

心細くなったので
閉店寸前の百円ショップで
黒いサインペンを買い
キリンに眼を描いてやった
キリンは
わずかに瞬いて
すこし
わらった
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