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習作(12/7~12/9)

2006年12月09日 20:33


・かなしみ

かさかさ
白紙が触れ合う音がして
水分がうしなわれてゆく
呼吸しても
でてゆかないのなら
せめて
鳩にでも変わって
鳴いてくれたらよいのに

・人工呼吸

生体反応の無いひとがたに
口づけたとき
胸がしんねりとした

息を吹き込むと
肋骨に模したふくらみから
酸素も何も
全部もれてしまって

消毒用のエタノールのにおいが
つんつんと鼻孔にささる

ああ
包帯があんなに白くて

・カフェ

誰にも飲まれることのなかった
コーヒーが
カップの底にわだかまって
黒耀石のように
凝固している

昼間の笑い声が
砂糖の代わりに
流れ込んでゆくのを
煙を吐いて
ただ見ていた

陽はもうすぐに
陰るだろうし

・さびしさ

この頃
父が優しくなったのを
考えないようにしている

冷蔵庫に
解らないように隠してある
抗がん剤のアンプルを
見ないようにしている

朝方
判を押したように苦しげに
トイレに駆け込んでゆく
父の足音を聞かないよう
目覚ましをわざと
遅らせている

泣かないと決めたのだ

けど
バックミラーに映る両眼は
不吉なくらい
父に似ていて
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