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王様

2006年11月29日 16:17

ふとしたきっかけで
王様と知り合いになった

漫画喫茶だった
王様は玉座に座るように
リクライニングシートにもたれ
隣のブースに居たわたしに
飲み物を取って参れ
と言ったのである

自分の分のココアと
王様の分の緑茶を手に戻ると
王様はネットサーフィンをしながら
苦しゅうない
と言ったのだ
王様が見ていたサイトは
スピリチュアルなんとか
とか云うやつで
王様は霊魂とか信じるんですか
と聞いたら
たわけ
と怒られてしまった

以来わたしは王様付きの家来
と云うことになって
たびたび呼び出されるようになった

今日は王様と一緒に
海に行った
王様の荷物は多い
折畳み式玉座
とか
黄金の杖
とか
携帯用王冠
とかで
革鞄はぱんぱんである

王様は浜辺に玉座を出して
ぎゅうと深く腰掛けた
そして水平線を指差すと
あれが世界の果てかな
と言った
いいえ
とわたしは答えた
いいえ王様
世界はもっともっと広いのです
あれは境界線に過ぎません
王様はかなしそうな顔をした
そんなに世界が広いならば
余は死ぬまでに
全てを見る事は出来ぬのか
くちおしいのう

玉座に腰掛けた王様は
花の中央のおしべのように
堂々として見えたが
少し背骨が曲がっている所為か
何だかしおたれて見えた
王様の国はどこなんですか
と聞くと
余は国を持たぬよ
余の居るところが国じゃ
そして世界の中心じゃ
と言って笑った

浜辺の風はそよそよとして
王様の王冠はきらきらと光る
帰りませんか
と聞いたところ
余はここにおる
と言うので
王様を残して先に帰った
それ以後
王様には逢っていない
波にさらわれたのかも知れない
それとも
違う家来を見つけたのかも知れない
海の近くを通るたび
余は国を持たぬ
と云う王様の声が聞こえる

正月に初詣に行ったら
自分のことと
王様の幸せを
八対二くらいで
祈ろうと思った
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