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ねずみ/蟻/山椒魚/くま

2006年11月26日 22:39


・ねずみ

幾ら両手を遣っても
雨からすら逃れられなかった
わたしが
どうやったら
何を守れるか
とか

考えていたら
濡れねずみになったから
ちゅう
と泣いて
駅に入った

なんでかな
右も左も
解らなくなってる

レールを辿って
帰ろうと思った

・蟻

おさないころ
年寄りにはどうして
歯が無いのかが不思議だった

寝しなに祖母に尋ねると
蟻が持っていったんだ
と言った

歯は角砂糖に似ているだろう
だから寝ている間に
蟻が間違えて持ってっちゃうのさ

後日しばらく
わたしは両手で
口を押さえながら眠ったらしい
悪い蟻が来ないように

そうやって
おかしげに語る
祖母の歯もいつしか
蟻に持ってゆかれたらしく

わたしは僅かに俯いて
紅茶に砂糖を二つ落とした

両手で口を押さえると
甘いにおいがしたようだった

・山椒魚

しらじらと浴槽に
身体を横たえ
そうしてそのまま
どこへも行かない

排出された気泡がはじけ
青い憂鬱が湯気に溶け
皮膚とタイルとの境が消える
眼だけゆらゆらさ迷って

山椒魚は逃げ出さず
ただ三日月を眺めては
ふかぶかと夜に息をつく
故郷の川の夢をみる

生きてゆけない訳ではない
さりとて生きたい訳でもない

今宵の月は悲しげである
何を照らしているのだろう

・くま

くまが一頭欲しい
生きてるやつがいい
出来れば
つきのわぐまがいい
さみしいときに
抱かさって
さみしいね
さみしいね
と泣きながら
温かい月の模様のところを
人差し指でさすってみたい

くまが一頭欲しい
つめはそのままでいい
出来れば
力が強いのがいい
何時か
何もかも解らなくなった時に
気持ち良く
ころしてもらうために

ねえ
そんなくまを
一頭くれませんか
わたしに

(先日
山の猟師のところへ行き
そんな相談をしてみたが
殴られただけで
だからわたしはまだくまを
一頭も持っていないのである)
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コメント

  1. ハル | URL | -

    子供の頃、絵本を眠る前に読んだもらった、そんな感覚に落ちました。絵本というのは、密やかに毒と美しい秘密ともの哀しさが、砂糖菓子のような中に隠されていて、私はそれがとても好きです。
    山椒魚とくまが特に好きでした。

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