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恋の切除

2006年11月14日 00:05


路上で
一人の痩せた人が
青いナイフを取り出して
恋人らしき人のお腹を
鮮やかな手つきで開腹し
ほかほかした切り口から
あっという間に
何かを切除してしまった

恋人らしき人は呆然とした
血は出ていなかったが
痛みはすこしあるようだった
おなかは可愛いステッチみたいに
さくさくさくと縫い合わされ
信号が変わった

痩せた人は去り
青いナイフはいつの間にか
空に溶けてしまってた

痩せた人が切除したのは
あれは若しかして
恋だったのだろうか
どうしようもなく肥大化して
破裂寸前だったのかも知れない

確か学校でならった
恋はいい加減に扱うと
肥大化して破裂するって
それは
周囲の人を巻き込むこともあり
非常に悲惨なのだとか

また
一定の条件を満たせば
肥大化せずに硬化する場合もある
恋が硬化したものは
往々にして愛と呼ばれ
広範囲にわたって
各臓器と癒着するため
切除は出来ず
また有効な薬も無い
救いようの無い状態
なのだそうだ

恋人らしき人は
それから何回
赤が青になっても
青が赤になっても
その地点から動かなかった
泣いてはいなかったけれど

体内が
あるべきものを無くして
淋しいんだろう
うすくひらきはじめた
傷口の向こうには
闇が広がっていた

次に恋が育まれるまで
長い夜の中を
生きなきゃならないんだろう

どんな気持ちがするのかは知らないが
横顔は
案外
やすらかであった
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