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2009年03月07日 03:01


春の夜は
制服姿の女学生の群れみたいだ
とめどなくざわめきながら
どこか柔らかくて

夜道を歩くとどこもかしこも
雨に濡れた紺サージの制服のにおいがする
女学生というものは
夜からうまれるのかもしれない
もしかしたら
わたしも昔
夜だったのかもしれない


春の向こう側
というものがあるらしい
そこは
えいえんに終わらない春のままで
さまざまな花が咲いていて
ひとびとはみな笑いながら暮らしているのだって
そこへ行けるのは
行き方を知っている人だけなのだって
行き方を知っているのは
死にかけたひとだけなのだって

そういえばいつか
絶望的なまでに顔色のわるいひとが
笑いながら駆けてゆくのを見た

あのひとは
そこへ行く途中だったろうか

本当は
わたしも行きたいんだけど
戻れないのを知っているから行かない
行けない


春が近づくと
水道水にみどりのあじが混じり始める
ああなまぬるいそのあじは
深夜こっそり捨てられた
あおじろい少年の精液に似て
衝動と不安とを感じさせるあじだ
路地裏へ走っていって首を吊って死にたくなるようなあじだ

春とはおそろしくも美しい季節で
わたしたちはその訪れを
淡い光の射す部屋で
膝を抱えて待っているしかないのだ



月刊未詳24/2009年3月第24号投稿
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