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ひみつのいとなみ

2006年07月30日 07:13


トイレに入ったら
甘い熱気が充満していた
ゴミ箱には
ティッシュが山盛りになっていて
一番上のティッシュからは
精液のにおいが立ち上っていて
ああ
誰かがここでセックスしたんだ
と思うと
便座に座るのが申し訳なく思われた

いつの間にか
わたしの髪にも
甘い熱気のにおいがついていて

それは
誰と誰だったんだろう
人間じゃなかったのかもしれない

石鹸で手を洗いながら
その営みについて
思いを馳せると
なんとも言いようのない気持ちになって

もしかしたらそれが
性欲
というものだったのかもしれないが

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七匹のロンボッリナ

2006年07月30日 07:00



隣の部屋の人に
毎晩ギターを弾かないで下さい
と注意をしたら
翌日からカナブンの死体を
一日一個
置かれるようになった
いやがらせなのかどうかも分からない

整然と列を成した死体
軍隊みたい
今日で七個めだ
ということはあれから一週間
ということは今日は日曜日

ロンボッリナ・ヤポニカ
カナブンの学名を呟くと
なんとなく友達になったみたいで
わたしは月光の下
白いスニーカーを履いて
光沢のある七匹のカナブンを
じっと見つめてた

隣の部屋の人がまた
ギターを弾いている
その音は雨音みたいで
やりきれないと思った

電車も終わってしまったし
わたしはもう
何処へも行けない

早朝、来たことのない道で。

2006年07月30日 06:09


如何にも学生しか住んでいなさそうな
アパートの前を通りかかった
その庭には
セラミックスのように光る草が生え
RC構造
ヴェランダは赤銅色だった

四角く区切られた空間の中に
靴下やトランクスやブラジャーが
まるで果実のように実り
チェ・ゲバラのティーシャツが風に揺れ
ジェイポップが聞こえる
歌詞は聞き取れないけど
メロディアスな女性ヴォーカル
どこからか線香のにおいがした
マルメラやチャンダン香じゃなくて
ノスタルジックな線香のにおい
すう と息を吸い込むと
八月にトリップしそうだった

八月はもうすぐそこだけど

日本WEB詩人会より「インドア派」

2006年07月29日 00:26


君を二つ折りにして
ポケットに入れたり耳に当てたりしたい

と告白すると君は
ぼくはあなたをパソコンに入れて閲覧したい
と言った

素晴らしく晴れた日で
わたしたちは裸だったし

なんだか満ち足りてしまっていた


2006/01/08 15:36

日本WEB詩人会より「ふと寝てしまったときに見る夢」

2006年07月29日 00:25


街灯がぽつぽつ灯ってゆく
河原はコーヒー牛乳色の夕暮れ

健康的な肌色のカップルが
自転車に乗って帰ってゆく

わたしは斜面に黙って座って
草をむしったりしてせわしない

詩人になるなんて思いもよらなかった
あの頃はいつも
どうすればムカつく奴を皆殺しに出来るか
そういう手段を考えて危うくなったり
欲情を抑えたりうまい棒を食べたりしていた

慣れない指でタバコ
テクニシャンにはなれない
風が吹くとティセラの匂いがする

吸って吐いたらトリップしますように

いつもそこで起きてしまう

頭上にはヒーターの音
強烈に寂しい

そして毛布にくるまると決まって
冷蔵庫のモーターが動き出すのだ


2006/01/08 01:50

しあわせな家庭

2006年07月28日 22:11


バターとしょう油と
子供の歓声
それらを全て混合し
煮沸消毒をおこなえば
しあわせな家庭は出来上がります

今夜の月は果実のにおいで

わたしは今ベランダで
しあわせな家庭を精製しています
子供の歓声は
蒸発しやすいので
注意が必要です

バターとしょう油のにおいが
両の眼を刺激する
さっきからわたし
泣きっぱなしです

あたらしい心臓

2006年07月28日 16:07


デンキ屋で注文しておいた
あたらしい心臓が届いた
やわらかに梱包されたピカピカの心臓
箱の中で囁くように微かに動いている

家に帰って
古い心臓を取り出すと
それはもはや壊れた懐中時計のように
出鱈目なチクタクを
奏で

あたらしい心臓を胸の窪みに入れて
幾多もの血管をただしく接続する
ちゃんと動くようになった頃には
すっかり日も暮れて

古い心臓を燃えないゴミの袋に入れた
何曜日に出すべきか
それは分からないけれど

あたらしい心臓はまだ冷たくて
だけどせいかくだ
七時ぴったりに七回鳴った

受話口と送話口で相反する

2006年07月28日 15:52

携帯電話が海鳴りのように
着信音を鳴らし
夢うつつで出ると
受話口からはわたしの声がして

たった一言
『間違えました』
と言って黙った

送話口のわたしは
胸がざわめいて
ほとんど泣きそうになりながら
『いえ』
と言って切った

後ろから君の声がしたような気がするんだけど
わたしはどこにいたのだろうか
いったい
なにを間違えたのだろうか

携帯電話はそれきり鳴らない

ベッドに顔を埋めると
夏なのに冬のにおいがした

くくり、

2006年07月27日 18:16


のどの奥で
くくり、と鳩が鳴いている
いつ入り込んだかは知らないが
鳩は黄昏時に鳴き
そのたびわたしは不安になる

女子トイレで
鳩を吐き出そうと苦心したけど
どうしても駄目で
しばらくその真っ白い個室に
しゃがみこんだまま
動けなかった
鳩を閉じ込めたわたしの喉は
中途で半ばふくらんで
少し振動したりしている

くくり、と鳩が鳴くもんだから
くくり、くくり、と鳴くもんだから

午後五時

2006年07月27日 17:45

君のくちびるの端から/水/或いはもっと別の/何かが流れ出してる/
それは/床に/垂れ落ちて/ぽたぽた/音を立て/ジャコウのような/匂いを/させ/あれは性欲/だったのか/それとも/痛み/だったのか/それとも/悲しみ/だったのか/わからないが/わたしは/とにかく/痩せこけた鳥/みたいな顔をして/冷蔵庫/の中に/逃げ込んだ/冷蔵庫/は/冷たくて優しく/死のにおい/が満ちていたよ/君は/いつまでも/出てこないわたしを/心配したのかは知らないが/とにかく/うろうろ/歩き回っていた/ぽたぽたぽたぽた/ジャコウの匂い/

午後五時/タオルはまだ/乾いてなくて

オグラさんちの

2006年07月27日 16:48


オグラさんちの男の子が
冬の日の夕暮れに
行方不明になりました
村人総出で
山や池や道路を
深夜まで探したのですが
どうしても見つからなかったそうです
オグラさんちの男の子は
どんな子だったかな
と思います
一回だけ遊んだような気もします

いなくなってもう
三年が経ちました

大人は天狗にさらわれた
と言います

わたしが愛した五人の男

2006年07月27日 14:19

わたしが愛した五人の男は
なんだかみんな
かわいそうな人
ばかりだった気がする

十七のとき
足が速い男を愛した
一年ほど一緒に走り回っていたが
あるとき 日暮里の路上で
男は不意に走り出して
そのまま居なくなった
もう地球を一周した頃だろう
それでも
まだ走り続けているんだろう

十八のとき
朝を怖がる男を愛した
わたしたちは毎夜毎夜
土手に座って星を眺めた
ある日わたしがうっかり
朝に
男の家のカーテンをあけてしまったから
男はそのまま空気中に溶けていった
呆然とした顔をしていた

十九の五月
嫉妬深い男を愛した
二週間ともたなかった
男はいつなんどきでも嫉妬の炎を燃やした
それでわたしは大火傷を負って
病院に運びこまれたのだ
三日後 目覚めたら誰も居なくて
それきりだった

十九の七月
眠り男を愛した
眠り男はいつも眠っていた
一日に何分か起きて
わたしと二言三言はなして
また眠ってしまう
眠り男は眠りながら
じょじょにかわいて死んでしまった
あっけなさすぎて
涙も出なかった

二十のとき
分身する男を愛した
分身する男は
多いときには三人にもなった
うんざりしてしまう
喧嘩が絶えなかったが
いつもわたしが負けた
三対一では勝ち目がない
置手紙を残してさようならをした
そのあと三回
その男が違う女と歩いているのを見た
それはそうだろうな


分身する男と別れたのを最後に
わたしは森の中に分け入り
土の上に横たわった
また誰かを愛せるまで
何年か眠ろうと思う
ずいぶん疲れた

昼間の空は青ざめて
真っ白いくちびるみたいな月がでている
心細かったが
やがて眠れるだろう


「I cannot understand English.」

2006年07月27日 13:15



英語が解らない
イエスとかノーとかならいいのだ
それが長い文章となって眼の前に現れてくるともういけない
コンマとピリオドの呪い
幾多もの意味を孕んだ単語の死体が
つるつるした紙の上におとなしく並ぶ
その静けさがどうしても怖くて
手が震えて
訳せない
(I have misunderstanding.)
(わたしは誤解しているのです。)

カラオケに行ってビートルズの「Yesterday」を歌おうと思ったんだけど
画面に流れてくる英単語が全然読めなくて
仕方なく日本語の歌詞をつけて無理やり歌った
―イエスタデイ 君の長い睫毛 なんだか象みたい オーアイビリーブイエスタデイ―
合成ビニールのソファまでが
わたしを馬鹿にしているような気がした
(Although it became 20 years old, I cannot understand nothing.)
(二十歳になったにもかかわらず、わたしは何も理解できません。)

道端で外国人に声をかけられた
イチマルキューがどうこう言っていた
道を聞いているのかと思って
一生懸命イチマルキューまでの道程を説明したんだけど
よく考えたらそのとき右手に
イチマルキューは見えていたんだから
あっち とだけ言えば良かったんじゃないか
外国人はわたしを娼婦だと勘違いしたらしく
プリーズ と何度も言った
(109 is there.)
(イチマルキューはそこにあります。)

英会話教室の前を通りかかったが
妙な顔をして何か叫んでいる女の人たちがいるばかりで
英語はまったく聞こえてこなかった
教卓の前に立った英語講師は
白い頬を赤らめて
困ったような顔をしていた
(Is it a joke?)
(ジョークですか?)

詩は虚構であり 従って詩作とは
何ら意味のない非生産的作業だ
といつも詩人を馬鹿にする友達に
わたしはリアリティを心がけて詩を書いている
と宣言してみたら
リアリティの綴りを言ってみろ
とやり返された
喫茶店で
昼下がりだった
陽射しがちかちかと瞳孔を焼くので
どうしても思い出せなかった
家に帰ってから服を脱ぎ捨てて
「Reality」
正しい発音で呟いた
(Realistic poetry)
(現実的な詩)
(書きたいのに)

折り紙を折って

2006年07月26日 01:23


折り紙でピアノを折って
けんぱんをそっと
指で叩いた
ドレミファソ は
かすかに響いて
壁にはねかえって消えていった

折り紙で朝顔を折って
部屋の壁に貼り付けた
朝顔は安物のドロップみたいな色で
風にかさかさと
乾いた音を立てた
なんだかさびしそうだったから
ボールペンでつると葉と
植木鉢を描いてやった

折り紙で箱を折って
その中に隠れた
よりかかるとあっけなく崩れてしまった
逃げ場所ができたと思ったのに
わたしはマルメラを吸いながら
崩れた箱をゴミ箱に捨てた

折り紙でバッグを折って
そのなかに必要なものを入れようとした

携帯電話
財布
下着
洗剤
せんべい
はさみ
詩情
希望
性欲

順々に入れたが
入りきらなかった
詩情だけ残して
あと全部外に出した
それから口をぱちんと留めて
押入れの深くに押し込んだ
何が起こってもこれだけ持って
どこまでも走って逃げ出すつもりだ

折り紙がなくなったから
コンビニに行った
でも 売っていなかった
今朝はあったのに

店員さんに聞こうとすると
店員さんは折り紙になっていて
コンビニもいつの間にか折り紙になっていて
わたしはしばらく立ち尽くした

それからゆっくりとした動作で
丁寧にそれらをすべてほどく
大小 色とりどりの折り紙が出来た
よかった
これでまだしばらくは色々折れる
しかし持ち帰ろうとつまみあげたら
ぱらぱらぱらと霧散してしまった

仕方がないので
一つ隣の
セブンイレブンで折り紙を買った
百円ちょっとだった

ホームページを製作する

2006年07月26日 00:49

白い大地を銀のシャベルで
<の形に掘ってゆく
アルファベットの種をまいて
>で上にふたをする

全角じゃだめなのだ
半角英数字と記号じゃなければ
このガーデニングは成立しない

種は一瞬で花を咲かせ
白い庭は色とりどり
向こうに地平線を作りたかったから
Hrの種を植えた
太陽の沈まない地平線だ
なかなか上出来

バックスペースにだけ気をつけよう
あの怪物は何もかもふいにしてしまうから
侵されないように暗幕を垂らそう

マウスのノックで入ってきてね
ここには星も雨もないけれど
その代わり永遠に夜もこない
君が傷つけられないよう
わたしはいつでも眼を開いて
外を見張っているからね

祖母の記憶

2006年07月26日 00:36

三歳まで
わたしには母親がいないと
思っていた
いや
正確には
祖母が母親だと思っていた

両親は共働きだったから

たまに帰ってくる母親は
知らない若い人
だった
知らない若い人はとても乱暴で
わたしを叩いたり蹴ったりした
王国に侵入してきた意地悪な兵士
みたいだった

いつだろう
母親を母親と認識したのは
お母さん
とスムーズに呼べるようになったのは

祖母と二人きりで
縁側にすわって
お手玉なんかしていたあの記憶は
スウィートな幸福
今も頭に残っている

かつてわたしの母親だった祖母は
もう老いた
いつ死ぬかわからない
たまに手をつないで散歩に行くと
背骨がまるく曲がって
死にかけの象みたいに歩くから
泣きたくなる

わたしはその傍らで
三歳児の気持ちになって
お母さん
と呼びかけたい
お母さん 死なないで


アイワナダンシン、ラチャチャチャ。

2006年07月25日 22:33

色々ややこしいんですが。
「ミチミチザッキー」だったこのスペースを今日より詩集に。
「ミチミチザッキー」が、「弁解なんかしたくなかった。」へ。
リンクの変更等よろしくお願いいたします。

現・日記はここです。

群青色のリアリティ

旧・詩集はここです。

弁解しません。

調べてみたら、ミチミチザッキーは2005年の10月16日から書き始めていました。それは、22歳になった10日後でした。
今とだいぶ違います。自分が書いていたことなのに、半分も理解できませんでした。阿呆みたいに希望に満ち溢れていました。
悲しくなります。
これからもがんばります。

応援は、してもしなくてもOKです。しかしできれば応援してください。すいません。

この世に存在するすべての詩人が、幸せに成れることを祈って。
東京より愛をこめて。

吉田群青(元・一日ミチル)より



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